【連載】ヨガと日常をつなぐ1冊 Vol.1 簡素で潔いライフスタイル 

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2018.8.9 text by:Makoto

【連載】ヨガと日常をつなぐ1冊 Vol.1 簡素で潔いライフスタイル 

ヨガをすることがポピュラーなことになった今、その教えを日常に取り入れたいと考えている方も多いでしょう。専門書を手に取るのもいいですが、書店に並ぶ本の中にもヨガのエッセンスが詰まったものがあります。そこでヨガスクールの講師としてインストラクターを養成している筆者が、ヨガの教えをより身近に感じてもらえる1冊をご紹介します。

転職を機に住まいに対する考えもチェンジ

「幸せとは今ここにあるのです。真の豊かさとは調和のとれたシンプルな暮らし方を自分自身で習得することです。」ドミニック・ローホー 随筆家

ヨガのインストラクターからヨガインストラクターを育成する講師として新しいキャリアをスタートするのをきっかけに、今まで慣れ親しみ住んでいた部屋を引っ越す決心をしました。ちょうどその頃にタイニィハウスという住居スタイルがあるのを知ったのです。小さなトレーラーハウスに必要最低限のものが揃った小さな空間を潔いと感じ、憧れを抱いたのを覚えています。

それまでは、大きな部屋であることを基準に引っ越しを決めてきました。生活や仕事の基盤が東京にあるのでトレーラーハウスに住むことはできませんが、新生活を始めるにあたり、住まいに対する価値観を改めようと決意しての部屋探しが始まったのです。今までの条件である部屋の広さを撤回したことで、屋根裏部屋のような、不思議で素敵な部屋に巡り会いました。

それからあっという間に数年間が過ぎ、改めて僕の生活空間を見回してみると、お気に入りの小さな部屋が手狭に感じるほどにモノが増え、生活のスタイルを潔くしたはずが、たくさんのモノに囲まれ、息苦しいとさえ感じ始めていたのです。

「やはり、もう少し大きな部屋に引っ越したほうがいいかな?」
と考えている時に、簡素な生活様式を伝える随筆家のドミニック・ローホーさんの作品に出会いました。

『屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方』と題された作品は、彼女のパリでの屋根裏部屋でのライフスタイルを綴った、「潔さとは何か?」を軸とし「衣」「食」「住」に関することをまとめた随筆集です。

ヨガの教えから見るシンプルライフ

ドミニック・ローホーさんが提唱している「シンプルライフ」や、やましたひでこさんが提唱している「断捨離」は、ともに簡素で、潔く生きるという意識的な生活様式です。このふたつのコンセプトに基づいた作品を読んでみると、至るところにヨガの考え方と共通するものがあり、二人の筆者がヨガから多大なインスピレーションを受けていて、ヨガのコンセプトを実生活で実践し、生活に生かしていることがよくわかります。

『ヨーガ・スートラ』という、ヨガの考え方に基づいた古典文献では、人生という旅の成功を目指すための8つのステップが用意されているとしています。

その1番目の項目は、自分という人間が世界と関わり、交わり合う中で、確実に避けるべき事柄(禁戒)が5つあり、また自分自身や世界との調和を図るための自己浄化法として、率先して取り組むべき事柄(勧戒)がさらに5つあるとされています。

そのヨガの古典書が示す「禁戒」と「勧戒」の中に、飽くなき欲求に対して節度を保つという考え方(不貪)と、与えられた環境や現状を受け入れて感謝するという考え方(知足)があります。ドミニック・ローホーさんのすべての作品には、この考えを青写真として展開されているのだなと感じます。実際に彼女のプロフィールには日本でヨガを実践し学んでいたとあるのです。

住まいが私たちにもたらすものとは?

「不貪」と「知足」というコンセプトをもとに、衣食住を、特に「住まい」という、私たちにとって必要不可欠な事柄を、より簡素で潔く整えるための実践的なヒントがたくさん詰まったこの本の序文には、こうあります。

「住まいが私たちにもたらすべきものは、まずは体と精神の安らぎです。私たちは、仕事中でも、それ以外の時間でも、生きる喜びを存分に味わえるように、エネルギーの器を満たしておく必要があります。住まいとは、それを可能にするための、何よりも安らぎと喜びの源であるべきなのです。」

「食」や「衣」よりも「住」は、その性質上、人を縛りつけ不自由にしてしまいがちです。
たくさんのモノに囲まれているのは、一見便利で幸福の象徴のように見えたとしても、モノは結局のところ私たちを拘束します。モノは物質である以上はエネルギーなので、たくさんのモノ、不要なモノに囲まれて生活をしているということは、その空間がモノのエネルギーで満たされてしまうといことになりますね。こんな空間の中では、自己滋養のために安らぐということが難しそうです。

家の大きさではなく、身の丈にあった生活を

自分の生活を簡素で、潔く整えるために誰しもが、小さな家に住み、持ち物を数個に抑えるといことがすべての人に良いこととは思いません。分相応、身の丈にあったという言葉が示すように要は、衣食住を自分が管理できる範囲に留めておくことが必要だと感じています。自分でまかなえて、そのモノを管理しながら、かつ有効活用できる範囲のモノだけを身の回りに置きたいです。

そのためにも、私の今の部屋は、ちょうど良い空間を選択することができたなと思います。自分の可動域の中で、今世で最優先すべき課題に取り組めるためにも、簡素で小さな暮らしを愛おしく思える潔さを身につけていたいです。この本のタイトルの通り、簡素で小さな暮らしは、きっと私の魂を満たすものとなるのでしょう。

潔い暮らし方を自分自身で確立することが、今、ここに焦点を当てる能力を育みます。幸せが、今ここにあるということをつぶさに感じていくために、もう一度この小さな空間を細やかに見回し、必要なモノと不必要なモノ、すべき事柄とすべきでない事柄を明確に見極めることに挑戦しようと思います。愛着のあるソファとテーブルにはお別れをして、小さなリビングの中心にはヨガマットを、その片隅には瞑想のためのクッションを置き、ヨガの実践を繰り返し行っていこうと思います。

ドミニック・ローホー「屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方」 2015年 講談社 1200円(税別)

ライタープロフィール:Makoto

FIRSTSHIP講師、スタジオディレクター。呼吸法、アライメントを重視したフロースタイルのハタヨガを得意とする。ヨガの国際資格E-RYT500保持。ヨガやアーユルヴェーダ、哲学的なライフスタイル、そして生き方を幅広く提案している。

http://www.firstship.net/

makoto(ライター用)

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